爺の時事放題~ときどき音楽

               音楽歴50年爺さんの言いたい放題ブログ。

これからの日本人がしなくてはいけないこと

安保法制案に反対してデモをする人たちがいる。
「ただ反対するのは誰にでも出来る。対案を出せ」と迫る人たちもいる。


しかし、アメリカの議会で約束をしたあとで出された法案に、対案を出して同じ土俵に上る必要はない。しかも公約に「集団的自衛権」の文字すらなかった過去2回の国政選挙で勝ったから、ここぞとばかりに図に乗って出された法案だ。


まずこの点はおさえた上で、安保法制案反対派が出さなければならないのは、法案としての「対案」なのではなく、将来の日本の安全保障政策として何が正しいのか、国際的な平和貢献に対して日本は何が出来るのか、という方向性の「提案」なのだと思う。


言うまでもなくこの方向性を考えるのは政治の責任であると同時に、今まで70年間憲法9条に安住して、お上におまかせ・思考停止状態で歩んできた国民一人一人の責任でもある。


だからこの方向性に向き合うためには、憲法9条や日米安保の是非に切り込む必要があり、かたや(アフガンの砂漠緑化にも見られるような)非武装平和貢献の在り方も模索しなくてはならない、という途方もない「作業」が求められるだろう。


しかしながらこれは、戦後の高度経済成長にひた走り、アメリカの傘の下で庇護されてきた日本国民が、本来の自立した国(私にとってはこれが「普通の国」)を創っていくために避けては通れないものでもある。


そこには武器輸出解禁などという発想の入り込む余地などないし、アメリカ軍に弾薬を運ぶような「後方支援に名を借りた戦争参画」も有り得ない。


この遠大な作業を続けていくためには、安保法制案に賛成/反対の二元論に陥って、カウンターを攻撃し論破しようとするのではなく、自分で考えそれを整理して相手に伝え、同時に相手の考え方も理解しようと努めるような、相互協力的な姿勢が必要だと考える(だから私はSNS上でも極力論争は避けている)。


そのためにはまず、(ことごとく国民に背を向けた政策を繰り出してくるような)危なっかしい現政権が打ち出した安保法制案はひとまず廃案にして、その上で本質的な議論に向うコンセンサスが、日本人全体にとって必要なのだと思う。


メディアが煽るような賛成反対の対立軸からは決して未来は生まれない。メディアはどんどん忘れていくかもしれないが、我々国民は忘れずに取り組んでいきたい。

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若者たちのデモ

安保法制案に反対する若者の声が全国各地でこだましている。


その中でも「SEALDs」は、大学生を中心としたグループだ。しかしそれは70年安保で活動していた全学連や過激派グループとは一線を画している。
私の記憶では、彼らが東京で前面に出てきたのは6月頃だったと思うが、その後またたく間に関西や東北にも拡大し、全国でほぼ毎日のようにデモを行っている。


彼らが昔の学生と違うのは、ひとくちに言えば「普段着」と「スマートさ」だと思う。


70年代のヘルメットもゲバ棒も戦闘服もなく、居酒屋に行くかのようないでたち。シュプレヒコールはラップに乗せてグルーヴが感じられる。女性が先頭に立ってアジテーションを行い、周囲には笑顔があふれる。


さらに若者の行動は「SEALDs」だけではなく、札幌では「戦争こわくてふるえる!」という名の下に見よう見まねでデモを始めた若者たちがいるし、大都市にとどまらず人口10万人以下の地方都市でも100以上の団体が生まれ、今週はついに高校生のデモが産声をあげた。
「子供を殺させない!」と若いママたちも毎週大規模な集会を開いている。


もとより、憲法学者をはじめとする学者や弁護士会、総連、医師会、地方自治体、大学などからの意見表明も夥しい数に上り、団塊世代を中心とする高齢者市民も(当初若者の行動に冷ややかな目を向けてはいたが)現在は「SEALDs」などの集会に積極的に参加するようになった。


私自身も反対派で何度か参加しているが、気になるのはマスコミの報道の仕方。


国会前に7万人とか10万人とか、渋谷で5000人とか、その規模感を前面に出して煽っていることだ。60年安保の30万人と比較することも多い。
しかし当然ながらそれは主催者発表であり、警察発表はその何分の一。私は中をとって記憶することにしている。


抗議行動はその規模が問題なのではなく、地理的広がりと継続性だと思っているからだ。その点で、なにかと「打上花火」が好きなマスコミには違和感を感じる。


一方、ネトウヨなどからの中傷や分断工作も多い。
右翼系市会議員のブログでは「デモ参加は就職にマイナス」と書かれ、昨日は「デモに参加する若者の実名リスト」まで匿名でツィートされた。体制側が相当焦っている証拠だ。


めげずに初志貫徹してほしい。敵は分かっている。同じ敵に向って私たち老人も連帯する。


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安保法制案が参議院審議入り

安保法制案審議が参議院に移って、安倍首相は中国や北朝鮮を名指しするようになったが、これが外交上どういう影響を及ぼすのか心配ではある。


どう考えても両国の態度は硬化する。中国からは金融的・経済的措置、北朝鮮からは拉致問題調査の中断などの通告があるかもしれない。
まさか安倍政権はこれを法案可決への「追い風」とするとは思いたくないが、いずれにせよ法案審議の行方に影を落とすことは間違いない。


以前から朝鮮半島有事や、東シナ海有事など、個別的自衛権の範囲内のことに、わざわざ他国軍(アメリカ)を引っ張り出して集団的自衛権を論ずることが不思議だったが、やはり政府の意図は南シナ海での有事を見据えているのだと思われる。


ひとつには米軍の考え方の変化。
昨年オバマ大統領が「アジア回帰」を表明し、海兵隊のフィリピン駐留を再開し、アーミテージ&ナイレポートが「アジア新秩序」を謳ったことでも分かるように、アメリカの関心は(東シナ海よりも)南シナ海だろう。
今回の安保法制案が昨年7月に閣議決定されたのは、前段に日米ガイドライン見直しもあり、こうしたアメリカの意志に忠実に従うためであったことは明らか。


もうひとつは、突然ホルムズ海峡のシーレーンを具体例として持ち出したことだ。
原油調達ルートの危険性を指摘しておけば、南シナ海シーレーンに容易につながるからだろうし、アメリカから見ても中国が太平洋に進出する海路を断つことは戦略として重要なはず。
連携する国にオーストラリア軍を加え、実際に日米豪の演習も始まっている。


参議院での質疑ではこうした具体的な国名をあげて進められるようだが、今後(南シナ海政策に)業を煮やしたアメリカから横やりが入らないとも限らない。


外圧と内圧に対して瀕死の政権が耐えられるのかが注視される。