爺の時事放題~ときどき音楽

               音楽歴50年爺さんの言いたい放題ブログ。

世界の動き、表と裏

ほぼ1か月のブランクの間に多くの動きがありました。主なものを羅列すれば以下のようになります。


【国内】
・憲法53条に従って野党が臨時国会の開催を要求するも政府は見送りを決定。
・その代わりに政府は衆参1日ずつの予算委員会を開催し、お茶を濁す。
・マイナンバー通知カード発送開始も、配達ミスや郵便物紛失など不手際続出。
・旭化成建材に始まった「杭打ちデータ偽造」問題が業界全体に波及。
・原子力規制委が「もんじゅ」に対して運営主体の変更勧告(又は廃炉)など最後通牒。
・米軍基地辺野古移設問題で国と県の争い激化し、ついに法廷闘争へ。
・民主党細野政調会長などが「解党要求」し、岡田執行部は火消し。
・維新の党は除名・離党・分裂騒動、さらに政党交付金をめぐる泥試合。
・大阪知事・市長ダブル選告示。おおさか維新vs.自民(民主・共産支援)の争いで22日投票。


【国外】
・米軍イージス艦が南シナ海の中国埋め立て基地の「領海」を航行。
・かたや、大西洋で米中合同訓練や、米艦の上海寄港など緊張緩和の動きもアピール。
・シリア難民が欧州へ押し寄せ、国境をとざす国などで受け入れ混乱。
・カナダ国政選挙でトルドー率いる野党自由党圧勝し、シリア有志連合から撤退を表明。
・習近平がイギリス訪問。安倍首相はシルクロード5か国訪問してバラまき外交。
・エジプト上空でロシア機墜落、ISISによる機内爆発テロと断定。
・ベイルートでISISのテロ、43人死亡。
・パリでISISの同時多発テロ、129人死亡。フランスが報復の空爆を開始。
・G20にて、テロ対策で協調する共同声明採択。


そして表面に現れたこれらの事件の水面下で進行中の動きが2つあります。


まず国内では11月10日、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が主催して開かれた「今こそ憲法改正を!武道館一万人大会」と称する集会。
神社本庁をはじめとする仏教系各宗派などの動員で1万人(公称)を集めて行われたこの集会は、現在の日本の極右系団体であり、現政権の閣僚のほとんどが参加する「日本会議」の決起イベントであり、国会議員を含めた右翼系論客が壇上に並び、さらに首相がビデオメッセージを寄せるという大がかりなもので、改憲を悲願とする安倍首相を陰で支える勢力の一大デモンストレーションでした。


そこで訴えられた主張は、(1)国家非常事態条項を憲法に明示する、(2)家族を大切にする社会を作る、というもので、(1)は国家権力を政府に集中させる憲法規定を作る、すなわち戦前の「国家総動員法」やナチスの「全権委任法」に通じる道であり、おりしも迫るテロの恐怖を盾に国民を改憲に誘導するもの、(2)は「親を大事にする」すなわち戦前の「親に従う」社会に通じる道であって、戦後の個人主義教育や自由主義思想を否定するものです。


そして国外では言うまでもなくパリをはじめとするテロの頻発後の各国の駆け引きです。
ISISの勢いを削ぎ、テロを根絶させるべく、米欧露が連携して空爆を始めましたが、その裏ではお互いの国益の落としどころを模索し始めていることです。フランスはテロの報復、ロシアは旅客機爆破の報復、そしてアメリカは(イラク戦争で自らが作った)鬼っこのISISをこれ以上伸長させないという意図のもと、アサド打倒を棚上げにしたということでしょう。


しかし空爆のたびに多くのシリア国民が殺されていく理不尽が最も目を向けなくてはならない問題であり、難民問題も深刻になっている現在、シリア国情の安定化が不可欠です。
シリアに限らず中東の紛争の原因は、第一次大戦後のサイクス・ピコ協定によって英仏露が勝手に引いた国境線にあるわけですが、もはやそこまでさかのぼって交渉するわけにもいかず、では単にISISの壊滅で解決するかというと、クルド人問題をかかえ、ISISをクルドと戦わせておきたいトルコにとっては痛し痒し、孤立化するイスラエルや、せっかく核合意したイランも黙ってはいないでしょうし、サウジの王族やレバノンのヒズボラ、各地に広がるアルカイダの存在もあり、一筋縄ではいきません。

ISISに最も大きな責任を負う「元凶国家アメリカ」は、暴力団と癒着する警察のごとき存在ですが、大統領選を抱え、中国との「握手外交」もちらつかせている現在、民主党政権では思い切った動きがとれません。その間隙をついて、ウクライナのほとぼりが冷めて最近強気の発言が目立つプーチンが主導権を握れるのか。


これらの「裏の動き」が未来の世界地図を決める重要な分岐点にさしかかっているのだと思います。


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TPPの問題点整理

TPPに関して私が認識していることは以下の通りです。誤解や追加認識の必要があればご教示ください。


1.TPPは条約だから国ごとの批准が必要なこと


安保法案のような国内法でも、自衛隊が後方支援に出動出来るまでは6か月の準備期間が必要で、その間に官僚が各法律間整合のための作業を行います。
TPPのような条約では各国の批准が必要なので、担当大臣が「大筋合意」などと宣伝してもそれはプロパガンダに過ぎず、これから国会と関係省庁間の駆け引きが始まります。
特にアメリカでは反対派が多く、大統領選挙も睨んでその行方は混とんとしています。
日本のように「お上が決めることには従う」国民体質の国は珍しく、カナダでもオーストラリアでも先行きは不透明です。
日本では何事もアメリカの成り行きを見て決めるので、国会での批准は何年先になるのか全く分かりません。少なくとも安保法案が閣議決定から成立まで1年ちょっとかかったのとは桁違いに、批准まで時間がかかると思われます。


2.TPPは世界経済の問題であること


TPPは太平洋をはさんだ仲間の国だけの条約ですが、当然影響は「環太平洋」に留まりません。特に中国やEU諸国からの対抗手段が激しさを増すでしょう。
さまざまな外圧にTPP諸国が日和ることも十分考えられ、日本としても外圧に抗するだけのしたたかさが求められます。


3.輸入品の値下がりには時間がかかること


TPPでは農産物などの輸入食品がすぐにでも安くなるような楽観的な報道ばかりですが、少なくとも5年~11年を経て関税撤廃になるわけですから、すぐに物価に反映されるものではありません。
かたや家計支出の元になる給料を払う側の企業は、輸入品の攻勢でどんどんジリ貧になります。
積極的にピンチをチャンスにかえれば乗り切れると、「強いものが勝つ」新自由主義の発想で、政府はさらに自由競争を進めますが、成功する企業は大企業だけでしょう。
こうして格差は増大します。
給料が減る一方で何故家計が助かるのか、理解に苦しみます。


4.ISDS条項で国家が訴訟対象になること


日本ではこの条項を「日本企業が不利益を被ればアメリカを訴えることが出来る」と喧伝しますが、実態はその逆です。今まで二国間FTA条約でISDS条項のあったアメリカとカナダ、或いはアメリカと韓国の例をとると、こうした訴訟は圧倒的にアメリカから出されており、その大多数がアメリカ企業の勝訴で終わっています。


TPPによってモンサントなどの遺伝子組み換え食品が蔓延し、混合医療解禁で医療費がはねあがり、簡保をはじめとする保険業界がアメリカ資本に蹂躙されれば、国民は健康面において衰弱し、さらにこの条項によって国家は国民を守れなくなるわけです。


アメリカ大統領選のあとにこうした世界秩序の崩壊は本格的にやってきます。その影響を受けない企業や個人はいません。


TPPは経済の安全保障の問題であり、これは長丁場の闘いです。


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「国民連合政府」へのチャレンジ

共産党が「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の提案をしました。


党勢拡大の1点のために、かたくなに全選挙区での独自候補擁立を貫き、徐々に議席を増やしてきた共産党が、各党との根回しに先だって公明正大にこれを宣言したのは、いかにも共産党らしいやり方で、ボールを投げられた野党各党(民主、維新、社民、生活)は応えなければいけない状況になりました。


全選挙区独自候補擁立方針と書きましたが、その方針を大幅に変更した選挙がありました。
2009年の政権交代が実現した衆議院選です。この時は全300選挙区のうち152区だけに候補を擁立、他は自主投票とした結果、反自民票が民主票に流れて劇的な政権交代劇が行われたわけです。
いわば政権交代の陰の功労者でしたから、民主党はもっと感謝して然るべきです。


しかも今の政治状況・国民世論からして、仮に共産党が従来の方針通りに選挙を戦ったとしても一層の躍進は明らかであり、党にとって有利な見通しを捨てての「国民連合政府」宣言は、日本の政治史に与える一大インパクトであることはもとより、共産党が本気で政権を取りに行く気構えの証拠でもあります。


志位委員長はこの提案の会見の中で、「閣内・閣外にはこだわらない」とも述べています。(共産党に行政をやらせたら民主政権の二の舞になるとも感じますが)ここまで潔いことを言っている以上、他の野党が提案を拒否する理由はありません。拒否したとしたら間抜けです。
岡田代表が志位氏と話をするとのことですが、党内をまとめきれないままに、自らの地位に拘泥する彼の判断が見ものです。


さて、共産党と他の党には基本的な政策の違いが大きく、連合政権が実現する可能性はこれまでありませんでした。
しかしながら昨年の衆議院選沖縄選挙区で全4議席を野党が独占したのも、共産党が3選挙区で独自候補を見送った結果だったことでも分かる通り、選挙協力の効果は他の野党も認めるものがあります。


もとより今回の提案は、ひとえに安保法案の閣議決定を撤回し、出来たばかりの法案を無効とする法案を成立させることが唯一の目的であり、そのための「臨時政府」の樹立を目指すものですから、共産党が企図するのは連合政府を作ることだけです。
だから公約は「安保法案破棄」の1点で十分です。


そのためには、野党再編で新しい党派を必要とせず、小沢一郎氏が前から言っているイタリアの「オリーブの木」と同様、現政党の枠組みの中で選挙を戦うだけでいいわけですし、民主にとっても維新にとっても渡りに舟、社民、生活にしてみれば躍進のための大きな力になるでしょう。


もっともこれが現実となると、「第二自民党」の民主や分裂直前の維新の各議員は、自分の選挙区がどうなるのか戦々恐々ではあると思います。各党の「民主主義を思う」本気度が国民に曝け出されると思います。


私は共産党員でもないし、その政策を全て支持はしませんが、客観的に見てこの「国民連合政府」提案には賛同します。
四苦八苦して法案成立させ一夜明けた自公にとっては「青天の霹靂」「寝耳に水」でしょうし、引き続きメディアを駆使し、「第二自民党員」である民主・維新の議員を使って工作を仕掛けてくるはずです(既にツィッターなどで表面化しています)。


しかし、自衛隊内部文書の暴露などをみても明らかなように、共産党は元来情報収集能力と分析能力に長けており、この半年間の世論の盛り上がりを見極めた上での結論だと思いますし、それはとりもなおさず全国各地で湧き上がった安保法案反対運動のひとつの成果でもあると確信します。


最後に兵頭正俊氏のツィートをご紹介します。


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共産党から戦争法廃止、国民連合政府実現、選挙協力の
呼びかけ。わたしたちの世代は、共産党アレルギーがあ
るが、今は本気になることで乗り越えられる。そこまで
日本国民は追い詰められている。戦争を前にして、同じ
志の政党へのアレルギーをいって、子供を戦場に送るの
か。
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